外国人のための日本の年金制度ガイド

海外在住の駐在員にとって、居住している国の年金制度の詳細を理解するのは難しい場合があります。日本も例外ではありません。このことを念頭に置いて、日本での短期・長期滞在の方に役立つよう、この簡単なガイドを作成しました。

日本の年金制度の種類

日本の年金制度は、大きく分けて2つあり、どちらも「公的年金制度」と呼ばれています。

• 国民年金 : これは、日本に住所を持つ20歳から59歳までのすべての人を対象とした、加入が義務付けられている制度です。 国籍は問いません。 国民年金の掛金は月額 ¥16,610で固定されています。
• 厚生年金保険: 正社員の方は、厚生年金保険制度に加入している可能性が高いです。 この制度では、会社と被保険者が掛金を折半します。 掛金は固定額ではなく、給与額によって異なります。 給与が高いほど、会社と本人が納める掛金も高くなります。

受給資格のある外国人に対する年金の種類

日本の年金制度は、退職所得を提供するだけでなく、以下の2つの給付も行っています。

• 障害年金: 障害が発生した場合に、一定額の支給を受けることができます。
• 遺族年金): 外国人の方が亡くなられた場合、遺族に一定額が支給されます。

日本の年金制度は外国人にも加入が義務付けられていますか？

この質問に対する答えは簡単です。はい、日本に在住している20歳から59歳までのすべての人は、年金制度への加入が義務付けられています。

掛金と受給額

国民年金の掛金は、収入に関係なく全員一律 (¥16,610) です。 したがって、年金の受給額も全員一律で、2022年現在では年間 ¥781,700です。 当然、これは40年間この制度に加入していた場合の話です。

厚生年金保険の場合は、本人と会社が納める掛金は給与額によって異なります。 したがって、受給額も人によって異なります。

退職後の受給額は、繰上げ退職、繰下げ退職、育児、失業、自営業などの変動要素があるため、計算が複雑になることがあります。 ただし、標準的な計算式は次のとおりです。

(0.55%) x (平均年収) x (勤続年数)

参考までに、40年間働いていて平均年収が ¥1,000万だった方は、年間約 ¥300万の年金を受給できることになります。 総額は下記の表のようになります。

しかし、実際にいくらもらえるのでしょうか？

大きな不明点は、今後 20 年か 30 年後に退職する人々がどのくらいの金額を受け取ることになるかということです。 しかし、日本の年金制度は今後数十年間は維持できるだろう、ということは、日本人も外国人も含めて国民の間には一般的な理解がある。

他の国民年金制度と同様に、日本の年金制度は階層的に機能しており、現役世代が支払った保険料は退職層に支払われます。 したがって、日本の年金制度は「世代間の財政支援メカニズム」として機能していると推測できます。

日本の人口がすでにピークに達し、現在着実に減少している一方で、退職者と高齢者の割合が増加し続けていることを考えると、日本の年金制度は今後多くの課題に直面することがわかります。利益を維持するのに苦労する可能性が高いためです。

現在この制度にお金を払っている将来の退職者は、先輩同僚が受け取っているのと同じ給付金を受け取れない可能性が高い。 残念ながら、この問題に対する一般的な「解決策」は、拠出している人々のすでに高い負担を増やすか、退職年齢を遅らせるか、給付金を削減するか、紙幣を印刷するかです。

国民年金制度が老後のニーズに対応してくれると考えている場合は、よく考えたほうがよいかもしれません。 快適な老後を過ごすためには、公的年金を補うための個人的な計画を立てる必要があります。

年金受給の条件

日本での年金受給資格を得るには、65歳以上であることと、日本国民年金保険料を最低10年間納付していることが必要です。これらの条件を満たしていない場合は、年金給付を受けられないことになります。

なお、年金の基本的な満額受給には40年間の納付が必要です。しかし、日本国民年金保険料を最低10年間納付している場合は、納付期間に応じて年金給付額が調整されます。

外国人への影響

多くの外国人の方は、母国でも年金保険料を支払っている可能性があります。そのため、日本での追加保険料の支払いは、経済的な負担となります。さらに、多くの場合、外国人は年金受給の資格条件を満たすことが困難です。場合によっては、年金受給に必要な最低納付期間である10年を満了する前に日本を離れてしまうこともあります。

このような状況を踏まえ、日本政府は外国人の方々が年金受給権を放棄しないよう、以下の2つの制度を設けています。

• 社会保障協定: これは、日本政府と外国人の母国政府との間の双務協定であり、外国人は母国での年金保険料納付と日本での年金保険料納付を合算することができます。この協定は、日本に10年未満滞在する予定の外国人の方を対象としています。
• 一括払制度: 日本の公的年金制度に加入している外国人は、日本を離れる際に、納付した年金保険料の一部を一時金として引き出すことができます。一括払制度の申請を希望する外国人は、日本を離れることを登録してから2年以内に一括払申請書を提出する必要があります。

日本は、国民年金制度を通じて堅牢な社会安全網を構築し、人口増加期には国民の生活を支えてきました。しかし、人口減少と高齢化が急速に進む中、このような制度の持続可能性は今後厳しい状況に直面する可能性があります。これは、個々人がより多くの責任を持ち、自らの老後の生活を支える必要があることを意味します。

一般的に、国民年金制度は、キャリアの中で様々な国で生活・勤務することを計画している外国人専門家にとって有利ではありません。数年ごとに国を移動すると、どこの国でも年金受給の資格を得ることが困難、場合によっては不可能になります。一方、海外勤務者は、こうした不利益を補うために、通常より高い給与が支払われます。

日本に十分長く滞在して日本の年金の全額受給を受けることを計画している場合も、そうでない場合も、現実的には、どの国の国民年金制度もあなたのすべての退職後のニーズをカバーし、仕事の後も幸せで充実した生活を送ることを可能にするとは限りません。現代の国民年金制度は、高齢者が完全に困窮しないことを保証するものでしかありません。しかし、どの国の年金制度だけで楽に暮らせるよう期待することはできません。

個々の経済的な将来を確保することは、それぞれの責任です。国民年金だけに頼らず、独立して幸せで経済的に安定した退職生活を計画する必要があります。そのためには、民間の年金制度や投資を活用して、予想される大きな差額を埋めることが必要です。